韓国の洋上風力発電

韓国の洋上風力発電

1975年に初の風力発電設備

韓国国旗 韓国はエネルギー資源に乏しく、エネルギー資源の大部分を海外からの輸入に依存しています。国内に石炭や石油、天然ガス、水力などがありますが、いずれも埋蔵量や包蔵水力が少ないのが実情です。そのため、1970年代から、原子力発電を導入、その割合を高めてきました。

近年、地球環境問題の高まりから、再生可能エネルギーの導入が韓国でも課題になり、とくに風力発電に力を入れ始めています。韓国における風力発電は早くから導入され、1975年に、国内初の風力発電設備が建設されました。その後、主に陸上を中心として、風力発電が建設され、現在、全国に約30ヵ所のウィンドファームが建設され、約240基の設備が稼働しています。設備規模は全体で393MW(39万3000kW)となっています。この規模は、日本の約250万kW(2011年)と比べて小さい規模といえます。

ポテンシャル大きい洋上風力発電

韓国の風力発電 韓国は、近年、再生可能エネルギーの拡大に力を注いでおり、今後、風力発電、とくに洋上風力発電を積極的に導入する見通しです。韓国の陸上風力発電は、立地余地が少なくなっているといわれるためです。韓国エネルギー研究所の調べによると、陸上風力発電による電力供給ポテンシャルは、2009年現在で3.6GW(360万kW)とされています。これに対して洋上風力発電のポテンシャルは8.8GW(880万kW)と予測されています。

韓国では、こうした洋上風力発電のポテンシャルから、2019年以降、新たな陸上風力発電の建設を行わず、代わりに洋上風力発電の導入を拡大する方針といわれます。韓国における風力発電の予測では、2020年には、陸上、洋上を合わせて3GW(300万kW)、2030年には7.4GW(740万kW)に達すると見られています。

2019年までに黄海に2.5GW

韓国の洋上風力発電 韓国におけるこうした風力発電の予測は、政府の今後の洋上風力発電構想をベースとしたものです。構想の第一弾として韓国政府は、2011年11月に、黄海の南東海域に2.5GW(250万kW)の大規模な洋上風力発電基地を建設する計画を打ち出しました。これは、全羅北道及び全羅南道の沖合いに建設するウィンドファームで、今後2019年までに約100億ドルをかけて推進します。

その後、構想の第2弾として、全羅南道沖合いに5GWの洋上風力発電プロジェクトが検討されているようです。こうした洋上風力発電の建設によって、2030年には、エネルギーの約11%を風力発電でまかなうというのが政府の目論見のようです。

韓国における洋上風力発電の推進は、国際競争力に優れた韓国の造船、重工業、電気機器、IT(情報通信技術)などの技術が生かせるとともに、洋上風力発電の推進を通じて、韓国産業への波及効果が期待できるという思惑があるためです。そのため、洋上風力発電の推進体制は、韓国電力公社をはじめ、地方自治体、メーカー、建設会社などから構成される洋上風力発電推進協議会が中心となる、いわば官民あげての事業として実施される見通しです。