洋上風力発電のメリット

洋上風力発電のメリット

海に囲まれた島国・日本

洋上風力発電の建設作業 日本は海に囲まれた島国であり、海洋国家ともいわれています。国土面積は約38万平方kmで世界で60番目と、比較的小さな国ですが、経済的な管轄権を与えられた、いわゆる排他的経済水域の広さは、国土面積の12倍もあり、それに沿岸海域である領海を合わせると、世界で6番目の広い海が、自国の海となります。  洋上風力発電はそうして広い海を利用範囲にすることができるので、立地スペースはほとんど無限といってよいでしょう。もちろん、水深や海底の地形などによって、海上ならどこでもというわけには行きませんが、陸上に比べると、風力発電の可能性は格段に広がることは間違いありません。

広い立地点の領域

洋上風力発電の最大のメリットは、このように立地点の領域が極めて広いことがあげられます。陸上における風力発電は、日本でもかなり普及してきましたが、何せ、国土が狭い上、発電に適した風況を得られる地域が、日本ではかなり限られています。日本の陸上部で風力発電の適地とされているのは、北海道、東北、九州の三地域に限られます。しかも、これらの地域では、環境規制の厳しいところが多く、また、人家に近い場所では、建設が難しいという問題があります。風力発電の場合、大型化すればするほど1基の建設場所に広い土地面積が必要となります。

大きな電力を生み出すためには、ウインドファーム(風力発電基地)のような形で、数多くの風力発電装置を設置する必要があります。ウインドファームで世界的に有名なのは、米国・カリフォルニア州のファームですが、このファームは、利用価値のほとんどない砂漠に建設されたものです。こうした未利用の広い土地のある国ならいざ知らず、日本のような国土では、風力発電といっても限界があるのです。

年間通して安定した風

年間通して安定した風< 洋上風力発電は、立地可能領域が広い上、陸上に比べて、年間を通して比較的安定した風を得られる点を無視できません。山や森、人家がなく、風力発電に欠かせない、一定した風を受けられる点が大きなメリットです。風力発電は風まかせの電力であり、風速や風力の変化によって、出力や周波数が変動してしまいます。出力変動や周波数の乱れは、コンピュータに依存する現代のような情報社会では、システムトラブルや混乱の大きな要因となります。風力発電は、こうした、出力変動が、発電の際の最大のデメリットといわれています。

洋上風力発電は、陸上風力発電に比べて、そうした変動を最小限にとどめることができます。もちろん、気象の変化や台風や暴風などを避けられませんが、そうした風況に大きな影響を及ぼすことが懸念される場合には、事前に、風力発電を止める装置が備えられています。その点は、陸上、洋上を問わず同じです。

資機材の輸送コストが安い

洋上風力発電のメリットとしては、そのほか、プラント資機材の輸送が容易なことも見逃せません。洋上風力発電の建設工事は、陸上部にくらべてなおコスト高ですが、資機材の輸送・運搬は、陸上風力発電にくらべるとコストが安くつきます。

陸上部の風力発電は、山間部や海岸周辺など、もともと道路、交通網の整備されていない場所が多いのです。そうした場所に風力発電を設置するとなると、資機材を運ぶための道路の建設から始めなければなりません。時間がかかる上、輸送コストが高くつきます。

洋上風力発電の場合は、資機材を船で運ぶことが出来るので、輸送コストは大幅にダウンできます。そうしたもろもろの点が、洋上風力発電のメリットとして評価され、日本では今後、洋上風力発電の設置が普及するとみられています。