世界の洋上風力発電

世界の洋上風力発電

安定した風況を得られる

デンマークの洋上風力発電 世界の風力発電は、近年、急速に拡大しています。石油、石炭などの化石燃料は、資源埋蔵量に制約があり、また、化石燃料の消費は温室効果ガスの発生によって、地球環境に温暖化の影響をもたらすとの懸念が強いからです。そのため、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が各国で盛んになっていますが、太陽光発電の場合は日照などの条件によって、建設対象地域は限られてきます。しかも、太陽光発電の建設・設備コストは依然として高いのが現状です。

太陽光発電に比べて、風力発電は、建設コストが安く、一定の風況を得られる地域ではどこでも建設が可能です。とくに、洋上における風況は、陸上に比べて安定しており、また、一定の風速を得られるという利点があります。そのため、近年、世界各国で、洋上風力発電の建設に取組む動きが目立っています。洋上風力発電の建設で目立つのは、設備の大型化です。今から20年〜30年ほど前の風力発電の風車の直径は15〜20mがやっとでしたが、2000年代に入って、一気に100mを超す大型の風車が登場しました。現在では、直径が150〜200m規模の超大型の風車が建設さされています。それに伴って出力規模も大きくなっています。洋上風力発電の場合、風車が大きくなればなるほど、大きな出力を得られることから、今後さらに大型化が進む見通しです。

イギリスは島国の利点生かす

世界の洋上風力発電では、イギリスが断トツの設備を誇っています。イギリスは、陸上風力発電ではヨーロッパ各国の中では比較的出遅れていたのですが、島国の海洋国家であることから、ここ数年で、急ピッチに導入量を増やしています。2010年時点では、イギリスの洋上風力発電の設備規模は1000MWを超しています。1000MWは100万kWに相当しますので、現在の原子力発電プラント1基分に相当します。もちろん、設備利用率などの点で、双方には大きな違いがありますので、発電量をそのまま比べることはできません。ちなみに、日本の洋上風力発電の設備規模は、2010年時点でわずか1MWです。

イギリスに続いて洋上風力発電設備の多いのは、ヨーロッパ諸国です。ヨーロッパは地形が割と平坦で、風況が安定していることから、風力発電に適しています。陸上だけでなく、バルト海、北海、大西洋などに面し、偏西風が年間を通して吹くという利点があります。そのため、デンマーク、オランダ、スウェーデンなどの国々で、洋上風力発電が盛んになっています。

中国がめざましい発展

中国がめざましい発展 洋上風力発電で最近、めざましい発展をしているのは中国です。中国は、国内で陸上風力発電も大いに普及していますが、国内経済・産業の成長に伴ってエネルギー需要が急速に拡大していることから、将来のエネルギー確保をめざして、洋上風力発電に進出しているわけです。

ドイツ、フィンランド、ベルギーなども中国に続く洋上風力発電国となっています。アメリカは、国内の陸上風力発電はかなり普及していますが、もともとエネルギー資源の豊富な国でもあり、洋上風力発電については、ヨーロッパ諸国に比べて出遅れたといえます。しかし、ここ数年、中国と同様、洋上風力発電に力を入れ始めています。