洋上風力発電の可能性

洋上風力発電の可能性

NEDOの再生可能エネルギー技術白書

NEDOの再生可能エネルギー技術白書 洋上風力発電の可能性に関しては、さまざまな機関から、そのポテンシャルの調査・研究のデータが示されています。民間の企業や団体、あるいは各省庁などの政府機関などが調査した結果を、それぞれ報告書としてとりまとめていますが、前提の置き方や調査の期間、対象などがまちまちであり、読み方はやや難しい面があります。そうした中で、比較的分かりやすく、信頼性のあるデータとしては、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「再生可能エネルギー技術白書(平成22年版)」があります。

NEDOは経済産業省の所管団体で、同省の取りまとめるエネルギー、技術開発関係の白書、報告書などの基礎データは、NEDOのデータを元にする場合が多く、信頼できる政府データといえます。

「再生可能エネルギー技術白書」によると、陸上風力発電については、2020年には1億2000万kW,2030年には2億2000万kWの導入可能量があると試算されています。洋上風力発電については、2030年に着床式に関しては2億3000万kW、浮体式に関しては、6億9000万kWの導入可能量があると見られています。

現在、日本の風力発電設備は、2011年度で、250万kWです。それから見ると、陸上、洋上とも実に100倍近いポテンシャルがある計算になります。

一定の買取価格を想定

もちろん、これは机上の計算であり、いくつかの前提をベースとしています。風速や発電コストなどに一定の条件を置いて計算してありますが、政策的にも、買取価格に一定の想定をしています。買取価格というのは、政府が2012年7月から実施した再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度で、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入拡大を図るため、電力会社に、再生可能エネルギーの電力を一定期間、一定の価格で買い取るよう義務付けた制度です。

この買取価格は、再生可能エネルギーの将来の導入量に大きく影響するといわれます。というのも、買取価格が高ければ、再生可能エネルギーの発電事業者としては、一定の利益が長期安定的に見込まれることから、さまざまな事業者の参入が見込まれます。

買取価格は毎年見直し

買取価格は毎年見直し 買取価格が安くなって、採算ぎりぎりになると、事業者の参入が少なくなり、既存の事業者でも、撤退するところも出てくることが予想されます。そのため、買取価格をどのような水準で設定するかは、将来の再生可能エネルギーの導入量を大きく左右することになります。

2012年7月に買取制度がスタートした時点では、風力発電の買取価格は、20kW以上の設備では、kWh当たり23.1円、20kW未満では同57.75円となっています。この水準は、かなり高い価格といわれ、風力発電を積極的に拡大するという政策的な意図の表れといわれます。

買取価格は、毎年見直されますが、NEDOの再生可能エネルギー技術白書でも、買取価格に一定の前提を置いています。今後、この買取価格の設定レベルによって、導入量も大きく変わってくる可能性があります。

再生可能エネルギー技術白書で見る限り、風力発電、中でも洋上風力発電は、陸上風力発電を上回るポテンシャルがあることが分かります。その中でも、現在はまだ実 証研究中の洋上風力発電のポテンシャルが極めて大きいといえそうです。