エネルギー自給率と洋上風力発電

エネルギー自給率と洋上風力発電

日本の自給率は7%

日本の自給率は7% 日本のエネルギー自給率すなわち、エネルギー供給に占める国産エネルギーの割合は、2009年時点で、わずか7%となっています。この割合を世界の主要国と比較すると、その低さが歴然とします。主要国の中で、エネルギー自給率の最も低いのは、お隣の韓国で、2%となっています。その次に低いのが日本です。欧米諸国では、フランスが9%、イタリアが17%となっています。

それ以外の国、例えば、ドイツは29%と、3割近くを国産エネルギーでまかなっています。アメリカは自給率が68%と、国内のエネルギー資源の多さを物語っています。イギリスに至っては、72%と高くなっています。これは、国内に北海原油や天然ガスなどのエネルギー資源が豊富なためです。さらに、中国では、自給率は91%と、エネルギー資源のほとんどを国内でまかなっていることになります。石炭、石油などの資源が多いためですが、それでも近年、中国は太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに力を入れています。再生可能エネルギーの割合はエネルギー供給の12%に達しています。

再生可能エネルギーは国産エネルギー

そうした中で、エネルギー自給率の低い日本は、今後、自給率向上のために、再生可能エネルギーの導入拡大に力を入れています。国内にほとんどエネルギー資源を持たない日本としては、再生可能エネルギーが、一番の国産エネルギーとなるからです。日本の国産エネルギーの中で比較的大きな割合を占めるのは、水力発電です。水力発電は、日本にとって古いエネルギーであり、明治、大正、昭和のはじめにかけて、日本の産業、経済を支えたエネルギーでした。その後、国内の石炭が水力に代わり、さらに、輸入石油がエネルギーの主役として登場した経緯があります。

しかし、近年、地球環境問題が世界的にクローズアップアされてきたことから、石油、石炭などの化石燃料の消費抑制が求められ、太陽光発電や風力発電などのCO2を排出しないクリーンなエネルギーの利用が各国で求められるようになったのです。

日本でも、ここ数年、クリーンエネルギーとしての再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでおり、その柱として太陽光発電、風力発電の導入拡大が課題となっています。ただ、太陽光発電や風力発電は、エネルギー密度のきわめて薄いエネルギーであるため、大きなエネルギーを得ようとすれば、広大な土地面積が必要となります。太陽光発電などを住宅に設置する場合でも、すべての住宅に設置したとしてエネルギー量としては、限界があります。

再生可能エネルギーを3倍に

再生可能エネルギーを3倍に 政府は、2012年9月にまとめた「革新的エネルギー・環境戦略」で、現在1100億kWh(2010年)となっている再生可能エネルギーの発電量を、2030年に、一気に3倍に引き上げる目標を掲げています。そうした再生可能エネルギーの飛躍的な拡大には、太陽光発電、陸上風力発電だけでは困難という見方が多いのです。国土面積の狭い日本ではどうしても限界があるためです。そこで注目されているのが、洋上風力発電です。四面を海に囲まれた日本では、洋上風力発電によるエネルギー量は無限ともいわれます。技術的な課題や採算性などの問題はありますが、将来的には、洋上風力発電が、国産エネルギーの大きな柱に育つと、専門家は期待しています。