洋上風力発電の歴史

洋上風力発電の歴史

デンマークが初めて建設

ヨーロッパの洋上風力発電イメージ 世界の洋上風力発電の歴史は、ヨーロッパ各国が、最も古く、現在も洋上風力発電の先進地域とされています。ヨーロッパ大陸は太平洋や北海に面し年間を通して安定した偏西風が吹き、洋上風力発電に適した地域となっているためです。ヨーロッパでは、オランダの風車が昔から有名ですが、オランダは、年間を通して偏西風を常に受けられるからです。現在は、オランダの風車は、観光用にしか活用されていません。発電を目的とした洋上風力発電所を、ヨーロッパにおいて最初に建設したのは、デンマークです。デンマークは1991年に、世界で初めて洋上風力発電所を建設しました。それ以降、イギリス、デンマーク、オランダ、ベルギーと相次いで洋上風力発電が建設されました。現在も、ヨーロッパ各国が世界で最も洋上風力発電の普及している地域となっています。

日本は2000年代以降に研究・開発

日本では、洋上風力発電が2000年代以降に研究・開発が進みました。もともと、陸上の風力発電の歴史も浅く、1970年代の石油ショックを契機として建設された経緯があります。1970年代には、2度にわたる中東戦争によって、石油不足が世界的に深刻化し、エネルギーの大半を石油に依存していた日本は、石油危機だけでなく、モノ不足などが表面化し、国内は大きな経済混乱に陥ったのです。そうしたことから、当時の通産省(現在の経済産業省)を中心に、石油代替エネルギーの開発・導入に官民あげて取り組みました。

伸び悩む陸上部での建設

陸上の風力発電 石油代替エネルギーの柱となったのは、太陽光発電と地熱発電、それに風力発電です。当時は、太陽光発電と地熱発電に力が入れられ、風力発電はそれほど大きなウエートを占めたわけではありません。しかしその後、2000年代に入って地球環境問題が世界的に注目されるようになったことから、地球環境に優しいエネルギーとして、CO2を排出しない、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーに注目が集まり、発電所の建設が進みました。しかし、陸上の風力発電は、日本の場合、ヨーロッパと違って、年間を通して風の吹く地域、いわゆる風況の良い地域が限られている上、多くが、国立公園や国定公園などの自然公園内に立地点があるため、発電所の建設にはさまざまな規制が加えられています。また、風力発電の場合、風車の風を切る音が、意外とうるさく、付近の住民から、騒音公害として、苦情が出されるケースが増えています。そうしたことから近年、陸上における風力発電所建設は伸び悩んでいます。

2004年、北海道せたな町で建設

陸上風力発電の伸び悩みを打開するため登場したのが、洋上風力発電です。日本は四面を海に囲まれ、洋上風力発電の設置領域はほとんど無限といっていいほどです。最初に洋上風力発電所が建設されたのは、2004年、北海道のせたな町です。出力は1200kWと比較的小さなものでした。同年にはまた、山形県酒田港にも1万kWの洋上風力発電所が建設されました。その後、2010年には、茨城県鹿嶋港に出力1万4000kWの洋上風力発電所が作られました。そして、2012年には、千葉県銚子沖で東京電力、東京大学が、福岡県北九州沖では、電源開発などが、さらに長崎県五島椛島沖で環境省や京都大学などが、大規模なウインドファーム(風力発電基地)を、さらに2013年には、福島県沖で経済産業省と東京大学、複数の企業がやはり大規模なウインドファームの建設を準備しています。このように、日本における洋上風力発電は、ほんのここ2,3年の間に、急速に普及してきたのが現状です。