洋上風力発電のデメリット

洋上風力発電のデメリット

建設コストが最大の課題

送電網 洋上風力発電の最大のデメリットは、建設コストです。洋上風力発電の建設コストについては公表されているデータがないので、正確なところはわかりませんが、一般的には陸上風力発電に比べ、30〜40%程度高くなるとされています。というのも、発電プラントを洋上で建設、設置することは難しいので、部材を一つずつ陸上で製造、ある程度組み立てをし、洋上に運んで、実際のプラントの建設をしなければならないからです。資機材の輸送コストは、船で一度に大量に運べるため、陸上に比べると安いとされていますが、洋上では、組み立てのためのクレーンや付属設備の設置が必要になります。風車だけでなく、変電設備などの施設設置が欠かせません。それと、コストを押し上げる要因として、陸上に電気を送る海底ケーブルの敷設があります。  陸地に近い沿岸部や、港湾などに建設する場合は、送電線コストはそれほどかかりませんが、陸地から距離のある洋上では、海底ケーブル敷設には、大きなコストがかかることが予想されます。

無視できないメンテナンスコスト

洋上風力発電の場合、建設コストと同時に、メンテナンス費用を無視できません。陸上風力発電の場合は、風車や発電設備などにトラブルがあった場合は、補修要員が駆けつけて対応することが可能ですが、洋上では、そんなに簡単にはいきません。船で要員が向かうとしても、海上が荒れている場合などはそれも不可能になってしまいます。一部には、洋上風力発電が数多く設置されるウインドファーム(風力発電基地)などには、メンテナンス要員が滞在できるスペースを設置すべきだとの意見もあります。

詳細な風況データの収集も必要

詳細な風況データの収集も必要 コストと同時に、日本周辺海域における詳細な風況データを収集することが大きな課題となっています。洋上風力発電は、陸上に比べて風況が安定していることは確かですが、海域や季節によって、風況には大きな変化があることも見逃せません。洋上風力発電はヨーロッパ諸国で普及していますが、それというのも、大西洋や北海の沿岸部は、季節を通して気象が安定しており、風況にも変化の少ないことが立地上のメリットとされています。それに対して日本の場合は、日本海側と太平洋側では、気象環境が大きく変わるという特徴があります。とくに冬の場合、西高東低の気圧配置が続き、日本海側は、大陸からの季節風が非常に強まります。  夏は、太平洋高気圧の影響で、日本海、太平洋側ともに気象は比較的安定しますが、夏は台風の襲来があります。こうした日本周辺海域の気象、風況を正確に把握することが洋上風力発電の建設に不可欠の条件となります。

千葉県銚子沖でデータを取得

こうした気象、風況の把握、とりわけ、これまで日本には少なかった風況データの取得が洋上風力発電具体化に当たって、課題となっています。現在、千葉県銚子沖に、経済産業省や東京大学、東京電力などによって日本最大の洋上風力発電所が建設されていますが、当面の課題はこうした風況データの取得であるといわれます。陸上の風況データに関しては、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が取得、公開していますが、洋上に関しては、今後、各地で建設が進む洋上風力発電によるデータ取得に待つところが多いようです。