中国の洋上風力発電

中国の洋上風力発電

急増するエネルギー需要に対応

中国国旗 中国は近年、国内の急速な経済・産業の成長に伴いエネルギー需要が急増しています。そうしたエネルギー需要の増大に対応するために政府が進めているエネルギー政策は、原子力発電の拡大とともに、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入です。その中でもとりわけ力を入れているのが風力発電です。中国内部には砂漠などの広大な未利用地があり、そうした土地を活用して、太陽光発電や風力発電を建設しようというわけです。事実、風力発電ではアメリカを抜いて、世界最大の導入国になっています。

 洋上風力発電についても、中国、日本、韓国などの東アジア地域の開発・導入が活発になっています。ただ、中国の場合は、陸上風力発電が中心であり、洋上風力発電については、これからの

中国の陸上風力発電課題とされています。というのも、中国の洋上風力発電のポテンシャルは、日本に比べるとかなり小さいとされています。日本の場合、四面を海に囲まれ世界第6位の広い排他的経済水域を所有していますが、中国のポテンシャルは、黄海、東シナ海、南シナ海の沿岸域に限られます。試算では、日本の洋上風力発電ポテンシャルは265GW(2億6500万kW)なのに対し、中国は40GW(4000万kW)とされています。そのため、政府のエネルギー政策の重点も、陸上風力発電に置かれています。

風力発電はエネルギーの主役に

中国の洋上風力発電 中国には、国内エネルギー資源が比較的豊富にあり、加えて、原子力発電の開発・導入も進んでいます。ただ、石油、石炭などの化石燃料は、地球温暖化をもたらすため、消費の抑制が求められており、加えて、埋蔵量にも将来的な制約があります。そのため、中国では、原子力発電の拡大政策を推進していますが、日本における原子力発電所事故によって、拡大スピードはややダウンしています。それに代わって、エネルギーの主役となっているのが、風力発電です。

中国・北京天安門中国の風力発電設備容量は、2010年に、アメリカを抜いて世界第1位の風力発電国となりました。その時点での容量は42.3GW(4230万kW)、アメリカは40.2GW(4020万kW)です。洋上風力発電を含めて中国の風力発電の導入は、この2、3年で急速に伸びた感があります。政府は、そうした導入実績を踏まえて、風力発電の導入計画を相次いで見直しています。

2020年に3億kWの風力発電見通しも

中国・万里の長城 2007年に発表した「再生可能エネルギー中長期発展計画」では、2020年の導入目標を陸上と洋上を合わせ3000万kWと設定していました。ところが、実績はそれを大きく上回ったことから、現在、新たな「新興エネルギー産業発展計画」を検討しています。同計画案によると、2015年には陸上・洋上の合計で9000万kW、2020年には、実に1億5000万kWという数字が示されています。これは政府の計画ですが、民間企業による計画では、2020年には何と3億kWという見通しが出されています。この数字は、現在の世界全体の風力発電設備容量の約2億kWを大きく上回る数字です。中国1カ国だけで、それだけの数字ですから、今後の風力発電の伸張は驚くべき姿といえます。この中には、洋上風力発電も含まれており、2010年以降、相次いで建設が進んでいると伝えられています。中国政府の風力発電にかける意気込みは極めて旺盛といえます。